Q 私は、5年前に夫と結婚し、その1年後に男の子を出産しました。交際しているときはあんなに優しかった夫が、結婚したあとは私に対して暴言を吐くようになりました。さらに、夫は、新興宗教に入信し、信仰だけなら自由だと思うのですが、給料の大部分を寄付で使い果たし、深夜に息子を連れ出すようにまでなりました。私は、5年間ずっと我慢してきましたが、もう耐えられなくなってしまい、3か月前に離婚しました。4歳の息子の親権は私に決まりました。
しかし、元夫は、私が働いている間に保育園に行って息子と会い、そのまま息子を自分の家に連れて帰ってしまいました。元夫には何度も連絡して息子を返すように言いましたが、まったく聞き入れてもらえません。警察も考えましたが、できるだけ穏便に済ませたいのでまだ相談はしていません。
元夫が息子を連れ去ってから1週間、一度も息子の顔を見ていなくてとても心配です。子どもを返してほしいです。私はどうしたらよいのでしょうか?
A 離婚して親権者ではない元夫が勝手にお子さんを連れて行ってしまったのですね。お子さんに会えず、とても心配ですよね。ご相談の内容は、親権者ではない者が子を連れ去ったというものですので、警察に行くことも十分考えられるケースです。穏便に済ませたいと言うことですが、警察に行くかどうかも含めて、まず弁護士に相談してみてはどうでしょうか。
警察に頼らない方法としては、親権者は、裁判等の手続きによって、子の引渡しを求めることが考えられます。具体的には、家庭裁判所に子の引渡しを求める調停の申立てを行うことが考えられます。調停では、裁判官1人と民間の良識のある人から選ばれた調停委員で構成される調停委員会を通じて、相手方である元夫と話合いをし、お子さんの引渡しを求めることになります。相手方がこれに応じない場合には、審判手続きに移行します。
ただし、今回のように、元夫があなたの話を聞き入れようとしない場合は、調停による解決は困難と予想されますので、はじめから審判の申立てを検討された方がいいかもしれません。また、すぐにでもお子さんを引き取らなければならないような事情がある場合には、審判の申立てと同時に子の引渡しを求める保全処分を申し立てることもできます。
審判であなたの請求が認められてもなお、元夫が引渡しを拒むような場合には、強制執行によって引渡しを求めることもできます。もっとも、直接的に子を引き渡すという方法は、子の年齢や意思によっては困難な場合もあります。
さらに、例外的な救済方法として、人身保護請求を行うことも考えられます。人身保護請求とは、法律上正当な手続きによらないで身体の自由の拘束が行われている場合に、その拘束からの救済を請求するものです。人身保護請求を行うには、原則として、弁護士を代理人としなければならないとされています。
このようにいろいろな方法がありますので、警察に行くかどうかも含め、くわしいことは沖縄弁護士会にご相談ください。