Q 私は結婚したことを機に勤めていた会社をやめ、以後専業主婦としてやってきました。夫は会社員で、私は夫の扶養に入っています。夫婦として30年間やってきましたが、性格の不一致に我慢ができず、離婚することに決めました。
離婚するときに、夫の年金を夫婦で分割できる制度があると聞きましたが、どんな制度ですか。
A 年金分割制度は、離婚後に配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し、それを他方の配偶者が受け取れる制度です。
この制度により、「厚生年金保険および共済年金の部分」に限り、「婚姻期間中の保険料納付実績」を分割することができます。ただし、国民の基礎年金である「国民年金」に相当する部分や、「厚生年金基金・国民年金基金」等に相当する部分は対象になりません。
また、誤解の多いところですが、年金分割制度は、将来受け取る予定の年金金額の2分の1をもらえる制度ではなく、保険料の納付実績の分割を受ける制度です。そのため、年金受給を受ける本人が、原則として、保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間の合計が25年以上に満たない場合には、年金受給資格が発生せず、せっかく年金分割をしても年金が受け取れないことがありますので、ご注意ください。
ご相談者の場合は、夫が会社員ですので、婚姻期間中に納付した厚生年金保険の保険料納付実績について、年金分割制度を利用することができます。
また、ご相談者は、専業主婦で夫の扶養に入っているとのことですので、2008年4月1日以降の婚姻期間中に納付した厚生年金保険の保険料納付実績については、離婚が成立した日の翌日から2年以内に、年金事務所に標準報酬改定請求書を提出して年金分割の請求をすることができます(3号分割)。
ただし、2008年4月1日以前の厚生年金保険の納付実績について年金分割を受けようとする場合は、按分する割合について夫と合意した内容を記載した公正証書などの書面を提出するか、割合について合意できない場合は調停や審判で按分割合を定める必要があります(合意分割)。
このように、年金分割については、夫がどのような年金に入っているか、夫の扶養に入っているか、被扶養期間はいつからいつまでか等、個別の事情によって、手続内容が異なり、年金分割によるメリットを受けられるかどうか、どの程度のメリットを受けられるか等も個別の事情により異なってきます。
特に、合意分割について、按分する割合につき夫と合意できない場合は、調停や審判で按分割合を定める必要があります。
くわしいことは沖縄弁護士会の弁護士に相談してみてください。