Q 以前、浮気を繰り返す夫が離婚届にハンコを付いてくれないことで相談しましたが、今現在も そのままの状態が続いています。調停や訴訟という手続があることは分りましたが、そのよう な手続きに要する期間はどのくらいなのでしょうか。また、弁護士を頼むときの費用について も教えてもらえませんか。
A 困りましたね。夫が離婚届にハンコを押してくれない以上、いつまでも離婚は成立しませんか ら、裁判所を利用して離婚をするしかありませんね。
最終的には、家庭裁判所に離婚裁判を起こして判決をもらい離婚をするという方法(裁判離婚)を取ることになりますが、法律上、原則として離婚裁判を起こす前に家庭裁判所に離婚調停を申し立てなければならないことになっています。そこで、まず離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停は、裁判官1名、調停委員(社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれています。)2名からなる調停委員会の指揮のもと、相手方も呼び出して裁判所で離婚の話し合いをする手続きです。第三者(調停員会)を入れて裁判所で話し合うという手続きですので、相手方が出てこなかったり、離婚の条件で折り合えなかったりした場合には、調停は不成立になり、離婚は成立しないまま終わってしまいます。
そして、いずれの場合であっても、裁判の前に離婚調停を申し立てなければならないというきまりは守ったことになりますので、次は、離婚裁判を起こすことができるようになります。
離婚裁判は、夫婦関係が離婚に値するくらい破綻(はたん)しているかということを証拠に基づいて主張し、これが認められれば、相手が欠席しようが、離婚を拒否していようが、判決で離婚を命じてもらうことができます。ご相談の内容は、夫が浮気を繰り返しているということですのでそれが認められれば、離婚判決をもらうことができるでしょう。
さて、それぞれの期間にかかる手続きですが、調停も裁判も、相手方の対応の仕方等によって変わるので、一概にどれくらいということはできません。例えば調停は、申立てをしてから約1ヶ月半〜2ヶ月くらいの間に第1回目の調停期日が開かれ、当事者双方が呼び出されます。相手方が出頭して素直に離婚を認めればそれで終わってしまいますので、約2ヶ月ほどで終了する、ということになります。
しかし、例えば相手方が出頭しても親権や養育費、慰謝料の問題などで条件が折り合わず、何度も調停を続けると、だいたい調停は1ヶ月に1回の頻度で開かれますから、例えば5、6回と繰り返すと、半年から10ヶ月くらいかかることになります。このように相手方の対応の仕方や話合いの状況によって、調停の期間は長くも短くもなるのです。
離婚裁判は、話合いではありませんが、やはり1ヶ月に1回ほどの頻度で開かれ、それぞれの言い分を主張し、証拠を出すということを繰り返すので、同じように期間については断定することはできませんが、半年〜1年くらいはかかると考えていただいてよろしいかと思います。
調停、裁判いずれも、期間については正確な予測はできず、長期間かかることも覚悟する必要はあるかと思います。ただ、相手方が離婚に応じないなかで、最終的に離婚を目指す以上は、避けて通ることができない手続きである以上、致し方ないのかもしれません。
最後に弁護士費用についてです。弁護士費用は現在は自由化されており、一定の決まりがあるわけではありません。ただ、かつて弁護士会が定めていた基準を現在でも利用している法律事務所が多いので一応の目安でその基準について述べますと、離婚調停事件については、着手金及び報酬金は、それぞれ20万円から50万円の範囲内の額、離婚訴訟(裁判)事件については、着手金及び報酬金は、それぞれ30万円から60万円の範囲内の金額、とされています。
なお、経済的状況で、一括して弁護士費用が支払えないような場合、一定の所得水準に満たない方のために、法テラス(日本司法支援センター)という国が設立した機関の制度を利用することができます。ここでは、法テラスの報酬基準にしたがった弁護士費用を、まず法テラスが弁護士に立替払いし、依頼者は、立て替えてもらった弁護士費用を、法テラスに対して毎月分割して支払うことができるようになっています。
法テラスの報酬基準は、先ほどの弁護士会の基準よりやや複雑ですので、具体的な内容については、法テラスに確認していただくとよいでしょう。法テラスの事務所は各地にありますが、そこに直接相談に行かれてもよいですしし、法テラスと契約をしている弁護士であれば、この制度を利用できますから、法テラスの利用について弁護士に直接尋ねてみてもよいでしょう。
くわしいことは沖縄弁護士会にご相談ください。